2011年3月6日日曜日

定刻主義者で(2008/07/25 0:14:59)

仕事は6時までである。
そして「トルストイ生誕180周年記念 ウラジーミル・トルストイ講演会」は6時からである。
なので、今日の私は定刻主義者でした。
上智大学の図書館の建物の9階の会議室。
さすがに大学内の施設なので、映画祭や観劇などのときより、ずっと客層が若々しい。
「現代に生きるトルストイ文学」というお題。
文豪レフ・トルストイの玄孫のウラジーミルさんは、名前が同じだからというわけではないでしょうが、ウラジーミル・プーチン首相に似ていらっしゃるように思えますが(外見が)、話し方もそういう雰囲気がありました。
プロフィールを拝見すると、2004年の大統領選挙ではプーチンさんを応援していたとのことですよ。
そういう、言ってみれば「体制寄り」というか、名門中の名門の、やんごとなき方だという認識が私の中であったせいか、「レフ・トルストイ(以下単に「トルストイ」とします。両アレクセイ・トルストイの話は出てこないので)文学の20世紀における継承者は誰であったか」という命題に対しての彼の回答が、「現代ロシア文学の最良の人たち、それは農村派、とりわけヴァレンチン・ラスプーチンである」だったのには、少々戸惑うほどに意外でした。
ええ、私もラスプーチンの数々の作品も、ソルジェニーツィンの作品も、それにフョードル・アブラーモフ(『兄弟姉妹』はレフ・ドーシンの演出によって舞台化、来日公演を観た友人の話だとそれはもう大傑作だったとのこと)も、好きですけど。
逆に「あんなものは文学とは言えない」とかなり強い口調で切って捨てていたのが、ウラジーミル・ソローキンやヴィクトル・ペレーヴィン。
うーむ、はっきり言いすぎのようにも思えるけれど。
まあウラジーミルさんは名家の方にておはしますからに、ああいうエロ・グロを受け付けない保守的な感覚をお持ちだというのはわかる。
かくいう私も、ソローキンははっきり言って嫌いです。ペレーヴィンもその良さ・おもしろさを理解しているとは言えない。
なるべく偏見は持たないようにしたいと考えているけれど、彼らはあまり肌に合わないと感じ、それよりは農村派の作家たちの方がよほどよいように思える。
(私も結構コンサバであると自覚はしている。)
作家のТ.Ф.さんが口火を切った質疑応答も、割とおもしろい展開でした。
ウラジーミルさんはこの手のお仕事にいかにも慣れている様子で、次から次に応答していました。
「いい映画は今やメキシコやイランから出てくる。」ともおっしゃいましたが、それには私、大共感です。
(イランはもちろん素晴らしい作品を輩出している、<映画界のオリオン座>的存在ですし、メキシコというよりもラテン・アメリカ一帯として考えるとよりイメージしやすいだろうけれど、あのへんの作品にも掘り出し物がいっぱいだ。)
ウラジーミルさんの言いたかったことは「文学も「辺境」から彗星の如く次代の巨匠が登場するだろう」ということのようでした。
はい、それで、今日もダスターチしましたよ。サインと写真。
これは講演終了直後のウラジーミルさんです。 PA0_0029
そして、今日のサインは『落穂の天使~人はなんで生きるか』にしていただきました。→ウラジーミルさん20080724
ちなみに、画家のナタリヤさんのサインはこちらのシンプルなもの。ナタリヤさん
あとは項を改めて書きます。

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