専門的なことは書かれていないので、素人の私にはよかった。
一般読者向けと言いつつ、アルメニア建築の有名どころ(と言ったって、私なんかは「それは何ですか?」というレベルなのだが)は相当割愛して、無名の野辺の建築を取り上げているのがありがたい。自分では決して訪れることがないだろうから。とりわけナゴルノ=カラバフやトルコとの国境地帯などの写真は貴重なのではないか。
冒頭の「アルメニアという生き方」には、アルメニア人の酒宴の様子が描かれている。まったくもって「さもありなん」という感じ。笑わせる。当世の日本でこれだと大問題だろうけど、関係省庁に挨拶回りに行くと部門ごとに飲まされ「歓待」される、とか。でもって、<飲酒の習慣はロシアが持ち込んだ悪癖の一つであり、アルメニア人はもともと日常的にはそれほど飲む民族ではないとの俄には信じがたい主張もあるが>・・・私にも信じがたいです!(某カザフ人も「飲酒はロシアが持ち込んだ悪習」と述べましたが、彼の言う「飲酒」とは「ウォッカを飲むこと」であって、ワインなどは含まれない様であった。ちなみにイスラム教徒です。)
エッセイは、こんな冗談みたいなことばかりではなく、アルメニアの悲劇の歴史についても(ややアルメニアよりかしら?とも思える筆致で)書かれています。
巻末にあった同じ出版社から刊行されている
『カフカース~二つの文明が交差する社会』や『イスラエル×ウクライナ紀行』なども読んでみたくなりました。(Amazonには随分辛口のレビューが書き込まれていますが・・・)
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